第31回ワールドケアカフェ3月29日に東京で開催しました。
SNSで中継して台湾、中国の福祉関係者とつなぎ、
「アジアの介護人材における現状と課題」について交流する事を出来ました。
外国人介護人材を受入の先駆国の台湾
介護ニーズが急増している中国、
日本に来られる外国人介護スタッフへのフォロー体制、中国最新介護事情…情報の共有をすることを出来ました。
国境を超える介護の魅力と豊かさ、これからもっと深く、広く発信して参ります。
ゲストの富田啓一郎さま、全继红様、また開催場所を協賛して下さった協賛企業クラブツーリズム株式会社にお礼を申し上げます。

ワールドケアカフェ:台湾の現地の方と中継で意見交換内容

台湾では介護保険がなく、日本よりも15年ほど施策は遅れているという肌感覚。
有料老人ホームだと一ヶ月約15万円ほど。現地の方々にすると少し負担。
台湾ではアジアの人材を積極的に受け入れている。
インドネシア、ミャンマーなど。
家政婦さんのような状態であり、必ずしも専門的な介護人材というわけではなく、政府も介護の専門的教育を推進したいと考えているようだ。

多民族国家であるので、多様な人々を受け入れる風土がある。日本も参考になることがあるのではないでさょうか。

?会場から記録に関しての質問?
→言語表記だけでなく、選択式で記録できるような仕組み入れている様子。

?日本でコミュニケーションに関しては、利用者さんと外国人の方はそれほど問題になっていない。スタッフ同士でのコミュニケーションの方が問題になっている様子。台湾はどうか?
→中心となる業務に関しては現地スタッフが担うなど、業務分担がされている。
→EPAなど、日本でしっかり学んだ方が現地に戻って指導しているなどしている。

?台湾では外国人の方は何年くらい前働きますか?
→三、四年という制限があったが、撤廃されたので、ずっと住み続けて働く方も多い。
→現地の人と結婚して永住する人は相対的に少ないようです。休みなどは同じ国籍同士の方で集まっている様子。そちらの方が多い印象。

?外国人の方をこれから受け入れていく日本へメッセージは?
→台湾でも日本へ送り出す動きも出てきているが、人口も少ないので、東南アジアに比べると日本へ行く人は少ないかもしれない。東南アジアと比べて生活水準も台湾と日本は大きく離れていないので、日本へ出稼ぎに行くというよりも、台湾のために日本の介護を学びに来るという人が多いかもしれない。

纏め:東京都介護福祉士会

ワールドケアカフェ:中国の現地の方と中継で意見交換中です。

中国の介護施設では農村から出稼ぎに来ている人が多い。会社によっては福祉系の大学生を採用しているところもある。

若い人を採用している施設の実情について

メリット
日本との交流を深めて、日本から専門家を招いて、日本の介護の理念を取り入れている。若い大学生は吸収力も高くて、今の介護施設のイメージを変えようと頑張っている。
大学生たちは、基本教養があるので、笑顔で利用者さんに接したりできる。年配の出稼ぎの方々の場合は、理念に沿わずに自己流でやってしまうことも多い。
その点若い人たちは良いケアを心がけている。
今まで中国の介護施設のイメージは悪くて、身体的虐待やネグレクトも少なくない。
若い人が頑張っている施設は家族なども暖かく見守ってくれている実情がある。

デメリット
若い人は生活経験が少ないので、カシミヤを乾燥機にかけて弁償するなどあった。
若い人は家族に対して怖いというイメージがあるためか、家族と積極的にコミュニケーションを取ることが出来ないことが多い。中国の家族はシビア。
離職率は高いことが課題になっている。実習中は自分にも出来ると思うのだが、現場に就職してからは、認知症の人の対応などで、うまく出来ずに悩んでやめてしまう人も少なくない。
メンタル面でやめてしまう人が多く、若い人を中心に採用していると深刻な問題。出稼ぎに来ている年配の人を雇わざるをえない
スタッフのキャリアアップや、認知症の人の言動を認めることが出来ないこと、など、課題は多い。
会社の発展が早すぎて、スタッフの育成が追いつかず、入れ替わりが流動的である。

会場からの質問
?若い人材は介護の勉強をしているのでしょうか?
→日本で言う短大の若者。今、介護や福祉の学校が中国国内で増えている。しかし、学校によってカリキュラムはバラバラ。
ある学校ではソーシャルワークを学んだのに、介護施設で働くことになり、全員辞めてしまったと言う事例もある。バラバラなカリキュラムと就職先のミスマッチの例。

?介護福祉士に当たる資格はあるのか?
→立場的には日本の介護福祉士に当たる資格があり、初級〜四段階ある。資格はあるが、学校で学ぶカリキュラムはバラバラである。

?日本の介護スタイルも欧米を日本的にしてきている歴史があるが、中国は?
→中国も日本の介護の理念やスタイルを取り入れている。また、世界を巡ってドイツやフランスなどのやり方を参考にしている会社もある。

?中国の介護ビジネスの実情は?
→富裕層向けの施設が多く、まだまだ、経済力のある人向けのビジネスである。
しかし、介護が必要な人が増えて来ることもあり、国も対策を考えている。有料老人ホームは一ヶ月約20万円程の料金。
中間層は家政婦さんが雇えるが、それ以下の所得層は自宅で家族でみるしか制度などがない。
富裕層でもアクティブシニアは要求が多いので入所はされない。重度な方や寝たきりの方、自宅でみられない、という方が入所されている。

渡鳥養老(という仕組み)
→不動産はシニアマンションを建てている。アクティブシニアは季節毎にそこを渡り歩いて移り住むという仕組みがある。

9064という政策がある。
→90%が在宅、6%は社区でみる。=日本で言う行政区(学区)。4%が施設で見る。
国も少しずつ、社区でのサービス開拓を少しずつ始めている。自治体がサービスを買い上げて民間に委託して訪問サービスを作ったりもしている。
不動産や保険会社が高級老人ホームをバンバン建てている。
ある日系の有料老人ホームは、10〜15万の料金設定で、150床で昨年9月オープンで、まだ10名程度の入居。競争が激しい。入居者が少ないのが実情。

一人っ子政策
→まだ一人っ子政策のころの親世代は後期高齢者になっていないが、今後、大変な課題として中国に訪れるだろう。

中国の“省“は日本の“県”ではなく、アメリカの“州”と同じ独立している行政区なので、省によって政策が全く違う。介護福祉士と同等の資格があるが、省によっても全く違う。

纏め:東京都介護福祉士会